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湯と山ノート

宇奈月・黒部の温泉文化マガジン

二月末日の雪景色、湯まちに残る余白

年度末の湯まちは旅人も疎らになり、雪景色の余白が一人歩きを始める。眺めのよい縁側の選び方と、靄とも雪ともつかない湯気の鑑別法。

雪景色 湯まち 黒部の四季
白一色の湯田に霧散する湯気と、頭だけ出している石灯籠の遠景
白一色の湯田に霧散する湯気と、頭だけ出している石灯籠の遠景

年度末の湯まちは、静けさの遍歴期です。旅人の数が減り、雪の反射が増える。この時期の湯まちには白紙の頁のような趣があり、思わず長居をしてしまいます。

眺めのよい縁側を選ぶ基準は簡単です。南東に開けているか。冬の太陽は低く、東南からの斜光しか届かない。その光が雪面に横柄に反映されているかどうかで、座る席を決めるのです。

湯気の鑑別も少し遊べます。靄なら風向きに従い、雪なら舞いながら沈む。湯は必ず立ちのぼります。この三者の比率を読むだけで、その日の大気の性格が掴めます。

縁側の茶碗には、湯まち特有の「溶かす楽しみ」があります。雪国暮らしの工夫が詰まった卓上で、はかどらない午後を一つだけ許してください。年度末の静けさは、そういう時間のためにあるのです。

この季節の湯先での拵えは冬の服装の三階層、雪を伴わない峠越えの対応は四季まとめの二月条へ。

雪洞の中で湯を張る桶の朝の静けさ
雪洞の中で湯を張る桶の朝の静けさ

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