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湯と山ノート

宇奈月・黒部の温泉文化マガジン

初秋の山あい、空気が替わる瞬間を読む

暦の上の秋と実感の秋は段違い。山あいの湯まちでは、風の混じり気と湯気の鋭さに先行して秋が到来する。その移ろいを追う九月初旬の記。

初秋 山 空気 黒部の四季
薄曇の朝に銀色に光る芒草と湯田の初秋の景色
薄曇の朝に銀色に光る芒草と湯田の初秋の景色

秋の気配は、山の頂から下りてきます。平地がまだ真夏日を続けていても、湯まちの朝の空気にはもう硫黄の匂いの乗り方が違う。湯の匂いは季節によって変化するのです。冬は白く立ち昇りすぎて抽象的、夏は湿って手前に垂れる。初秋の匂いは、その間の切れ味が鋭くなる。

芒草が刈り取られずに眺めよく熟していたら、山の向こう側にはもう紅葉が走り出している合図でもあります。湯の匂いと草の匂い、この二つが同時に空気に乗る二週間が、実は一年でもっとも湯まちらしい時間だと思っています。

初秋の三つの兆し
対象変化のあらまし
朝晩の湯気拡散せず、柱状に立つ時間が延びる
虫の声昼の蝉から、夕の鈴虫系へ交代が進む
旅人の服装半袖に羽織の組み合わせが目立ちはじめる

紅葉の頂点の予報と心構えは、続く十月中旬の紅葉と湯の記へ譲ります。年間の季節環は黒部峡谷の四季まとめに位置づけました。

宇奈月温泉駅舎と山あいに広がる空
宇奈月温泉駅舎と山あいに広がる空

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